つねに「見捨てられるかも」とビクビクして育った子供たち
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境界性パーソナリティ障害(ボーダーラインPsD)とは、衝動的行動や自己破壊行為などが特徴的なパーソナリティ障害だ。
衝動的行動とは、性にふけったり、ギャンブルや高額な浪費、アルコールや薬物を乱用すること。
自己破壊行為とは摂食障害や、リストカットなどの自傷行為で、要するに自分の身体を痛めつけることだ。
情緒が不安定で、うつ病や躁鬱などの気分障害を併発することが多い。
神経症にも似ているし、精神病にも似ているために、その境界線上にある障害として、ボーダーラインという名前が付いたらしい。
パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するかを読むと、ボーダーPsDの人というのは母親の愛情を感じず育ち、「見捨てられるんじゃないか」という恐怖を抱き続けているらしい。
この本の著者によると、母親が子供を楽しませないとイケナイと勘違いしていたり、愛情の代わりに別のモノを与えて誤魔化しているという。
また親が子供に自分の理想を押しつけていて、自分の思い通りにならないと言って叱ったりすることも問題だという。
親と子供しかいない核家族の場合、いわば密室であり、親は独裁者として振る舞うことができるから、子供を励ますどころか、子供を脅して痛めつけていても分からない。
子供に自分の理想を押しつけるのは、虐待に等しい効果をもたらし、後に深刻な影響を及ぼす可能性が高いという。
PsDは、愛では癒せない
境界性PsDの人に対応するには、彼らの話を親身になって聞いたり、彼らと一緒に盛り上がってはイケナイという。
境界性PsDの人は、底なしの愛情飢餓感を持っていて、自分を愛してくれる人を捜し求めている。
彼らは幼児期に母親にしっかり抱っこしてもらえなかった子供たち。
母親のぬくもりが欲しかったのに、飴をなめさせられたり、おもちゃで誤魔化されたり、放ったらかしにされたり。
境界性PsDの人は、幼児の頃、得られなかった愛情を成長してから取り戻そうとしているわけだ。
ところが彼らと一緒に喜んだり怒ったりすると、感情をいたずらに刺激して、かえって危険になるという。
彼らはゼロか百かという極端な世界に生きていて、感情に程度や中間がない。
なので楽しいと狂喜乱舞するが、失敗するととんでもなく落ち込んで手がつけられなくなる。
しかしセラピストなどの専門家でさえ、彼らの話をつい熱心に聞いてしまう失敗をする。
すなわち境界性PsDの人に、「この人なら信頼できる」という印象を与えてしまうのだ。
そうなると彼らは話を聞いてくれた人に依存するようになり、とんでもない要求をし始めて、手に負えなくなっていく。
さらに手に負えなくなって距離を置いたり見放したりすると、彼らはひどく傷つき、とんでもなく落ち込んでいく。
残念ながら境界性PsDは愛情を持って癒すことは出来ず、中途半端な愛情は、かえって愛情に対する飢えが増すのだという。
なのでここまでは援助できるが、それ以上は無理だというふうにハッキリ宣言すべきであり、黙って頷いて話を聞くだけに留めるのが重要だという。
自傷行為など、意表をついた行動で興味を惹こうとする場合は、あらかじめ罰を決めて約束しておくのも有効らしい。