妄想性パーソナリティ障害とは、人を疑い続けて生きるタイプ
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パーソナリティ障害のいろいろ。
ここからは『クラスターA』と呼ばれるグループで、「風変わりで自閉的で妄想を持ちやすく奇異で閉じこもりがちな性質を持つ」タイプだ。
クラスターAに分類されているのは3つのタイプで、
- 妄想性PsD
- シゾイドPsD(スキゾイドPsD)
- スキゾタイパルPsD
まず最初の妄想性パーソナリティ障害とは、周囲にいる人間が自分をだますのではないか、利益のために自分を裏切るのではないかと、四六時中疑いながら暮らしているタイプだ。
妄想性パーソナリティ障害の人は、人口の0.5~2%くらい存在するとされていて、境界性PsDや自己愛性PsDと比べても、決してめずらしいPsDではないという。
妄想性PsDの人はどういうわけだか人は必ず自分を裏切る・だますという考えを持っていて、「あいつ、裏切るんじゃないか」→「あいつ、今日はちょっと様子が変だったな」→「あいつ、やっぱり裏切った!だまされた!」と言う風に、その考えをドンドン強化していくらしい。
パーソナリティ障害の全般的な特徴として、「0%か100%」と言うような極端な判断をするというのがあるが、妄想性PsDの場合は他人を、自分に関係ない人間か、自分をだましたり裏切ったりする人間かという二択で、他人を判断するわけだな。
ウィキペディアの妄想性PsDの記事から特徴を拾ってみると、こんな風に書いてある。
- 猜疑心:十分な根拠も無く、他人が自分を不当に扱っている・傷つけている・だましていると疑う
- 友人や仲間の貞節や信頼性に対し、不当な疑いを持ち続ける
- 情報が自分に不利なように用いられる、という根拠の無い恐怖のために、他人を信頼するのに躊躇する
- 善意からの発言や行動に対し、自分を卑しめたり恐怖に陥れるような意味あいがないか探る
- 執拗に恨みを持つ:自分が受けた無礼、負傷、侮辱などを許さない
- 自分の性格や世間体が他人に伝わっていないことに攻撃性を察知して、すぐに怒って反応したり反撃する
- 配偶者や異性のパートナーの貞操に対し、正当な理由もなく、繰り返し疑いを持つ
妄想性PsD 知り合った人間は監視すべき存在
妄想性PsDタイプの人は、一旦親しくなった人を、「自分のために存在している人間」と認識するらしい。
ゼロか百かという極端な評価しかできないのがPsDに共通な性格の一つであるが、親しくなった人間はもう自分のモノだと考えるらしい。
なので異性から受けたただの親切も、自分への好意と勘違いして、恋愛感情を勝手にふくらませるという。
だからちょっと親切にされただけで、「コイツは自分に惚れているんじゃないか」と考えてストーカー行為を始めることになる。
もちろん相手が恋愛感情のような特別な感情を、自分に持って話しかけているとは限らない。
サービス業や接客業などでは、お客さんの情報を集めるのは当たり前の作業だし、親切な人なら困っている人の状況を知りたいと思って、詳しく状況を尋ねるのは当たり前のことだろう。
しかし妄想性PsDの人は異性に親切に話しかけてもらうと、それを恋愛感情などの特別な感情のせいだと理解して、相手が自分に特別な好意を持っているモノだと錯覚してしまうらしい。
そしてさらに、親しくなったヤツは自分のモノであり、監視して自分の元に留めておかないといけないと考えるらしい。
そのために彼らは親しくなった人間の行動を監視して、自分の元から離れていこうとしたらいち早くそれを察知して裏切りを阻止しようとする。
昔、コレクターという映画で、女性を誘拐して監禁する男のことが描かれていたが、ちょっとした親切が誘拐監禁につながってしまうのは、まさに妄想性PsDのタイプって事かな。
ただし妄想性PsDの本質は、ストーカーではない。
妄想性PsDの人は被害妄想が強く、現実を自分に都合良く歪曲して受け取ってしまうので、周囲の者を力や権謀術数(けんぼうじゅっすう)で支配しようとするのだ。